「形見の一品」タグアーカイブ

形見の机リメイク

えーっと・・・・私と同年代のお兄さんを

若くして亡くされた弟さんからのご依頼で

「形見の折り畳み机をリメイクして欲しい」

っと言うご依頼。

幼少期から生前、お兄さんがご愛用してたらしく

思い入れのある折り畳み机。

弟さんが形見として今も出店イベントでご使用中。

面白い構造で、裏面の脚を引き起こして、更に

回転して起こした木板をストッパーとする簡素ながら

良く考えられた作り。今でも現役で使えてます。

戦前では無いと思いますが、昭和の中期以前の品かと?

ただ、心無いお客さんのお子さんが乗ってしまったらしく

思いっきり天板にヒビ割れが出てて・・・・

天板が反り反ってしまってガタガタで使いにくいとの事。

お客さんの子供のした事だから・・・っと商売上、

許すほか無いでしょうが何事も「覆水盆に返らず」

謝って済む話では無いのに、お客さんは知る由もない。

┐(´∀`)┌ヤレヤレ

温厚な弟さんですが、昨年亡くなったお兄さんの大事な

形見を踏まれて壊され・・怒り心頭だった筈だが

それよりも「直せるものなのか?」ご心配のご様子。

β(□-□ ) フムフム

正直、どんなものでも修復して直せますが、思い入れのある

一点もの。絶対に失敗は出来ないし、やり直しも利かない。

そんなの誰でも仕事として、やりたくないってのが本音。

手間と万が一のリスクを考えると、ホントは数万円頂いても

割に合わないのですが、今回は知り合いの困り事ですから。

(*´σー`)エヘヘ

細部を見たトコロ、そんな特殊構造でも無いし

正直、製作時のミス(釘が中心からズレて強度不足)

もある。出来れば手間が増えるので分解しない方が

楽だが、折角なら天板の反りも直したい。

なので、結局は全バラ分解。(*´σー`)エヘヘ

やはり既製品のような寸分の狂いも無いような

高精度では無く、職人の手作りだと判る。

「釘を一本も使わず・・」なんて良く言いますが

昭和初期でも、そんなモノは少ないし、美化では無く

感覚的に言うと「当時高価な鉄くぎを使っていない」

のは当然で、釘を使える位になったからこそ、庶民が

買える日用品が増えた・・・程度の事。

プレミア付くような匠の技では無くて、当時は

「無かった故の苦肉の策」を持て囃してるだけの話です。

(*´σー`)エヘヘ

コレもメクラ栓を外せば各部に鉄製のマイナスネジが

普通に使われてました。(当時は加工が簡単なマイナスネジが

圧倒的に多い)

ただ、嵌め込みの補強材のネジがセンターに打ててなく

錆びも酷くて、強度が余計に落ちてたので、コレも修復。

さらに・・・・

割れて反ってしまった天体は、それ自体の強度が落ち

折り畳み機構含め、机そのものの強度も落ちちゃってるので

補強&反り修正の為に目立たぬように側面に「サネ補強」

を新たに追加加工しました。サネ材は強度のあるカシ材で。

φ(°ρ°*)チマチマ

当初は、修復と今後の利便性を考えると、天板は

磨き直して再塗装の予定でしたが・・・

修復&補強が上手く行ったので・・・

味のある思い出の詰まった天面はそのままに

硬質2液ウレタンのクリアーコーティングに

しては?っとご提案。

「残せるのであれば残したかった」と喜びの声。

ヾ(*´∀`*)ノ

っと・・・言う訳で

シッカリ!硬質コーティングまで済ませて・・・

無事にお引き渡し完了。

コレ、たまたま上手く行ったけど、毎回直せる

保証は無いし、胃がキリキリ痛むほどのリスクと

直したトコロで見栄えがほとんど変わらないので

高額な修繕費ではナカナカ納得しにくいのが本音。

裏面の折り畳み脚も修復&補強を施し、スムーズで

シッカリ完璧にリメイクしたので、今回は

メチャメチャ喜んでくれました。

ヾ(*´∀`*)ノ

なので、形見や唯一無二くらいに余程に思い入れが

無いと成立しないし、逆に、そうであればこそ

余計に失敗も許されないので・・・そもそも商売として

成立しにくい。

誰でも簡単に治せると思われても困るし、それなら

ご自分でやって。っとなっちゃう。

色んな知識や技術も無いとダメな上、やり難い事この上ない。

「修理&復元&リメイク」は難しいモノですよね。

(*´σー`)エヘヘ