ナカナカ理解されにくい「溶接の難しさ」の話。
私は鉄はアーク溶接ステンレスやアルミはTIG溶接したり
今回のように熱可塑性プラスチックの溶着なんかもしてますが・・
一般的に「溶接は難しい&敷居が高い」イメージ通り、
ハンダや糊付けと違って、カナリ難しい。
恐らくイメージ的には、機器が高額で、専門的な知識が
必要で・・・それで難しいと想像すると思うんだけど、
それらが全部備わっていたとして・・も難しいの。
・
「溶接」と言うのはそのまんま「溶かして接ける」のね?
ハンダやボンドなどと大きく違うのは「母材も溶かす」の。
β(□-□ ) フムフム
ソコが大きく違う。感覚的に言えばチョコレートみたいな感じ。
(´・ω`・)エッ?
ハンダやロウ付け等は絶対に母材は溶けない。母材とパーツの
隙間に溶けた金属を流し込んで繋ぎ止めてるので絶対的な強度は
溶接と比較すると全然無い。糊やボンドやUVレジンでも。
逆に母材側にはダメージゼロなので、簡単に言うと失敗しても
付けたロウ部分を溶かして外せば、やり直せる。
β(□-□ ) フムフム
チョコレートと似てると言うのは、例えばチョコが欠けたとしよう。
パーツとパーツを引っ付けたいとしよう。
っとなると、溶かして引っ付ければ冷えれば引っ付く筈。
(*-ω-)ウンウン♪
だけど、溶かすと母材もパーツも一緒に溶けちゃう。
Σ( ̄ロ ̄lll)ソッカァ・・
また型に入れれば溶けても出来るだろうけど「型が無い」
としてみれば・・・モノすんごく難しくなっちゃう。
・
母材と接合部を良く溶かせば、固まると一体になるので
強靭に引っ付く。しかし、溶かせば溶かすほどドンドン
母材もパーツも溶けていく。そのもの自体が変形するし
熱でドンドン歪むし、薄いと反って来ちゃうし溶かし過ぎると
簡単に溶け堕ちる。ココが、難しい。
((((;゚Д゚))))アワワ
なので、初心者に溶接を教えると、必ずシッカリ付けようと
溶かし過ぎて失敗する。母材も溶けるから、失敗=母材ごと
破棄するしか、どうしようも無くなっちゃう。
そうなると、今度は表面だけ浅く付けようとしちゃう。
でも、それだと今度は想像通り強度は無く簡単に剝がれてしまう。
(*´σー`)ヤッパリ?
だから、その中間点を探れば良いんだけど、思考的に
誰もが思う「ギュっ!っと念入りに・・」がまったく通用しない。
触れば触るほど、弄れば弄るほど、ドンドン形状が崩れる。
だからと言って、ソーっと溶けないようにダメージが少ないように
すれば、余計に引っ付かない。
早すぎてもジックリ過ぎてもダメで、言うと「ジックリ封じ」なの。
だから付いたかどうかは?運や慣れに陥りやすい。
β(□-□ ) フムフム
金属の場合だと熱でドンドン歪んで来るから全然違う遠い端が
ドンドン狂ってくる。慌てて修正しようにも触れば触るだけ狂う。
アルミ溶接が難しいのは、蓄熱性が良すぎて、この溶ける融点が
ドンドン加速度的に早くなるのも原因のひとつなの。
ジックリさせてくれれば良いんだけど、そうはならない。
((((;゚Д゚))))アワワ
ココがコツの居る部分で、触れば触るほど形が崩れ修正できないし
ササっとしようとすれば確実に溶け込みが足りなくて欠陥になる。
丁度いい塩梅と言うのは、その中にあって長すぎても短すぎても
ダメで、その失敗は修正も効かない。触れば触るだけドンドン
手の施しようが減ってグダグダになる独特の難しさがあるの。
β(□-□ ) フムフム
まぁ・・・数を練習すれば良いんだけど、基本的に、この
「ジックリ出来ないけど、確実に」と言う概念が理解できてないと
ナカナカ習得できない。
だから凄いんだぞ!では無くて、世間的には慎重にジックリ腰を
据えて慌てなければ上手く行く事が多い。遅くても成功しやすい。
でも、物理法則に基づいたモノは心情や精神論は無関係で
溶ける融点に達してるか?どうか?だけしかない。
誤魔化しは効かないし言い訳も・・・全く接合性には作用しない。
┐(´∀`)┌ソーイウコト
難しいと称する大半が「物理法則」と「心情」との乖離が多く
思った通りに、想像したようにならないから難しいのだし面白いの。
素人が簡単そう?と思っちゃう大半が実際の難しさとは違う部分と
言う原因だったりもする。
(っ´∀`c)ソユコト
以前に書いたと思うけど「こんなの簡単そうじゃん?」は
心情的な想像部分で「難しいかも?」「やっぱり無理かも?」
も・・・これまた全て心情の範疇でしかない。
「お願いだから!引っ付いて!時間が無いんだぁ!」っと願っても
融点に達してないと、どうやっても引っ付かない。
でも、融点に達すると言う事は母材も溶けるし熱ひずみも
必ず起こる。いや、起きないと融点に達してないって事だから
この鬩ぎ合いが難しいトコロで・・・コツが要って面白い。
・
なので融点は金属溶接とは違ってPPは168℃と低いけど
溶接ってどれも似てて同じようなコツが要って面白い。
また、金属溶接は紫外線とヒュームガス、PPだったら有害ガスが
出るから真近くに顔を近づけ難いと言うのも似てる。
ほぼ真上から見て作業するのはガスを吸っちゃうので無可能なの。
溶けてる箇所を良~く見なきゃダメなのにねw
・
金属溶接の前にプラスチックやチョコレート(チョコレートの
匂いを嗅いだら即死って縛りで)で練習するのもアリですね。
(* ´艸`)
ハンダやロウ付けにも難しさはあるけど根本的に「母材自体は
溶けない」と言う違いがあるから「念入りに母材をシッカリ熱する」
事が大事なハンダ、ロウ付け技術は、溶接にはほぼ通用しないし・・
プラ製品はインジェクションの一発成型が多いの。
逆にチョコレートで色んな形に造作出来るパティシエさんは多分、
共溶が判ってるから、すぐに金属溶接が上手くなる筈。
(* ´艸`)ダネェ♪
溶接し終わるとカッチカチに硬くて想像が難しいけど、
溶接(融解)の最中はその箇所だけ母材も液状寸前のホタホタの
プルプル状態。それを上手く保って接ぐのがムズイって話ね。
(*´▽`*)ララーン