ホワイト・ウッドって何よ?
最近よく、ホーム・センターとかで日曜大工用に「W・W(ホワイト・ウッド)」と言う木材を見かける人も多いと思います。白木で節も少なく、角を落としてあって手触りもスベスベですよね。それらは、別名「SPF」とも言い、「スプルース(トウヒ)」「パイン(黒松)」「ファー(モミ)」の頭文字を取った総称です。
「トウヒ(唐檜)」と言うのは、日本の高度成長期の住宅ラッシュで建築材が足りなくなった時期のヒノキの代用品(唐檜=ヒノキに似たと言う意味)で、ヒノキでは無く、松の種類。どちらかと言うとモミの木に似てます。「ヨーロッパ・トウヒ」「ロシア・スプルース」と言うくらいでアラスカ・カナダ・北米・北欧が原産。外材で節が少なく、年輪が広い白い木(松の種類)の総称です。そして安価ですが・・・・・・ビックリするくらい、耐候性がありません。
家の購入を考えた方なら知ってると思いますが、野外で使うと、一年ほどでポキッ!っと折れたり、杭とか地面に挿してると、腐ると言うより消えてなくなる程・・・・耐候性がありません。雨漏りやシロアリ、腐朽菌に大変弱く、地震などで揺れたときの「木の粘り」も殆ど無いです。これらを警告する建築業者さんも多いですが、私も野外に使用して・・・・あまりの耐候性の無さに唖然・・・・ビックリした事があります。(~~;)>
ホワイト・ウッドは、成長が早く大量に伐採、木材に切り出し加工する時に、蒸気で強制乾燥させて(KD材=Kiln Dry Wood=人工乾燥木材)その後、表面をキレイにプレーナー処理(電動カンナ)して、厚みや大きさを「2×4(ツー・バイ・フォー)」や「1×4(ワン・バイ・フォー)」と言う定形サイズに切り出してます。(因みに、この時に切り出した木クズを量販店で「園芸用バーグ」として安価で売っていますね。
木材の寸法
「2×4」とは、木口のインチ表記なのですが(1インチ=25.4mm)正確には、2インチ×4インチでは無く、1インチ1/2(約38mm)3インチ1/2(約89mm)と言うように、1・5インチを約2インチとし、3・5インチを約4インチと繰り上げて言います。だからワンバイの1も約19mmです。全長もフィート単位なので、1フィート(304.8mm)単位で、3フィート(914.4mm)10フィート(3048mm)12フィート(3657.6mm)などの定形にカットされ販売されています。ややこしい話ですね。
因みに定形材と言えば聞こえは良いですが、日本の木材も「寸角」(1寸角材)とか「ニイチ(タテ1寸×ヨコ2寸)」とか・・・・殆どの国産木材は定形ですよ。インチやmmと同じように日本にも「尺(しゃく)」と言う寸法が昔からあります。
歴史の中で、長さや重さや距離と言う尺度は、時の権力者達により年貢や関所の勝手な都合で、多少の変化はあったのですが・・・師匠から弟子に脈々と受け継がれてきた「日本建築での尺だけ」は、殆ど変わらず、今でも長さは一尺=303mm、その10分の1が一寸=30.3mm、その10分の1が一分=3.03mmで、日本の曲尺と言う単位は、1mを33で割った数値で303刻みです。
更に、一尺の3倍が約910mm、その倍、つまり6倍が1間(約1820mm)で3×6(サブログ)と呼ばれ、タタミ一畳分。その大きさがコンパネやベニヤ板の定形サイズで、それが2枚(2畳=1820×1820=約3.31㎡)で一坪ですね。日本の木材は、大体が4mに切り出されています。最近のホーム・センターでは扱いやすい3mモノも多いですね。
湿気や雨天、腐朽菌、シロアリに弱いです。
ホワイト・ウッドは日本のような、杉やヒノキのような木目の細かい丈夫な針葉樹が生えない極寒で生えてる木材で「年輪が広い(成長が早い)」「軽い&柔らかく手ノコで挽ける程、加工性が抜群に良い(木材の密度が低い)」木材で、一部の良質なウッド材はギターやバイオリンなどの弦楽器にも利用されていますが・・・・・何かの表面保護をしないと、雨天に晒されると、スグに腐ってしまいます。だから、家具などではオイル・ステインや蜜蝋で表面を保護しますし、建築材としては外壁板で覆った内部でしか使わない訳です。
野外でも使う木工製品に、これらを使うと、例えば椅子とかベンチだと、地面に接地する脚部分とかから侵食が進み、アッ!っと言う間に腐ります。お父さんがホーム・センターで買ってきて慣れない手付きで作ったホワイト・ウッドの犬小屋は不恰好な見た目以上に(笑)スグに腐ってボロボロになっていますよね。腐朽菌にアッ!っと言う間に食われます。
湿気が少なく温度も低い欧米なら、さほど問題にならないんだろうケド、高温多湿な日本では、昔から使われている国内木材とは、比較にならない程に耐候性に難があります。ログ・ハウスやウッド・デッキも日本で作るには、先ず、湿度との違いで欧米よりも遥かに腐りやすい。
劣っていると言うか・・・日本の風土に合わないと言う方が正しいかと。日本の杉でも、マレーシアなどの熱帯雨林に持って行けば、虫に食われるし、ボトボトに腐って朽ち果てます。逆にマレーシアには水に、とても強いアイアン・ウッドと呼ばれる「ウリン」が自生しています。要は、その風土に合わないと木材はダメなんです。
そんな訳で、私は国内杉を好んで使ってます。杉でも白い周囲の部分(シラタ)よりも赤い心材を使うほうが耐久性&強度は高いです。要は、木の密度が高い(重い)固い(虫や腐朽菌に冒され難い)木材が良くて、軽く柔らかい「ホワイト・ウッド」「バルサ」や「パイン」などの安価な木材は、日本では耐久性が劣る訳です。
腐朽菌って?何ですか?
ちなみに腐朽菌(ふきゅうきん)とは、木材腐朽菌の事で、木材中の成分である「リグニン」を分解する能力を持っていて、「リグニン」が分解された後に残留する「セルロース」「ヘミセルロース」の色である白色に木を朽ちさせ変色させることから、白色腐朽菌と呼ばれます。何だか、恐ろしい菌のように思うかも知れませんが、椎茸やナメコやエノキ茸とかのキノコは全部、白色腐朽菌ですよ。椎茸は、ブナなど密度の低い腐朽菌に弱い木材に菌を植え付けて栽培します。
コレの逆で針葉樹に大敵な「セルロース」と「ヘミセルロース」を分解させて褐色の「リグニン」を残留させる褐色腐朽菌や、これらが生息できないほどのビショ濡れの木だけを腐らせる軟腐朽菌などもあります。ヒノキなどと比べると、これらの腐朽菌耐性はやや劣りますが、杉も割と腐朽菌には中(そこそこ)に強い木材です。
そういったバランス「加工性(固さ)「耐久性(密度)」「価格」のバランスが良く、良質な国産杉が入手し易い和歌山だからこそ「CrafTraf(クラフトらふ)」では、国産杉を好んで使ってます。